肥満による糖尿病の原因は脂肪細胞の炎症!引き金のタンパク質発見

himan06_woman.png肥満日本人の糖尿病患者は年々増加して、予備軍も含めると6人に1人は糖尿病か糖尿病予備軍と言われるようになりました。

その多くは2型糖尿病ですが、肥満が原因と言われても、なぜ肥満で糖尿病に なるのかが、はっきり分かっていませんでした。

この度、大阪大学の石井優教授(免疫学)らのチームが、肥満による糖尿病の
原因である脂肪細胞の炎症の引き金になるタンパク質を発見しました。

そのメカニズムにとても興味を持ちましたので、
私なりに解釈してお伝えします。

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◆肥満になると生じる脂肪細胞の炎症とは

2013年10月に、「免疫細胞により制御される脂肪組織の炎症についての研究」が 東京大学医学部附属病院の西村智、真鍋一郎、永井良三氏らによって
発表されています。

それによると、免疫細胞である、CD8陽性T細胞、M1マクロファージが脂肪
細胞の 炎症を進展させ、制御性B細胞が炎症の抑制をして、

それらのバランスによって  脂肪細胞の炎症が調節されていることが
分かりました。

それで、マウスもヒトも肥満すると制御性B 細胞が減少して炎症を進展させる
T細胞やマクロファージの働きの方が強まり、炎症が進んでしまい、糖尿病や
高血圧、動脈硬化などのメタボリックシンドロームになるとされていました。

※そうなると、今回の研究は、制御性B 細胞が減少する引き金になるタンパク
質が 発見されたということになります。

以前から脂肪細胞の炎症は免疫細胞(T細胞やマクロファージ)によって進行
する ことはわかっていたのです。

◆引き金になるタンパク質が発見された経緯

研究チームは、実験マウスに高脂肪、高カロリーの食事を与えると8週間で
通常の マウスの2倍まで太り、2型糖尿病になりました。

このマウスを「バイオイメージング」という生きたまま細胞を見る技術で
観察すると
体重がまだ変化しない1週目に「S100A8」というタンパク質
が脂肪細胞で増加し、 マクロファージの働きを活発にし、炎症の最初の引
き金になっていることを発見したのです。

つまり、高脂肪、高カロリーの食事を取ると、体重は変化していない1週目で
脂肪細胞が 「S100A8」というタンパク質を放出し始めることによりマクロファージを呼び寄せ 脂肪細胞の炎症が増加するのです。

◆さらなる研究

引き金になるタンパク質「S100A8」を抑える物質を週に2回マウスに注射
すると、 血糖を下げるインスリンの効果が高まり、糖尿病の症状を和らげる
ことにも成功しました。

S100A8はヒトでも同様に存在するので、マウスと同様の効果を期待できる
ため、 S100A8を抑える物質を糖尿病を防ぐ薬として開発すれば良いこと
になります。

この研究成果は2015年4月6日付の「米科学アカデミー紀要電子版」に発表
されました。 http://www.pnas.org/content/112/16/E2058.abstract

 

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◆「S100A8」タンパク質とは

資生堂が、S100A8/A9タンパク質について、岡山大学医学部(許 南浩 教授)
と共同研究したものを見つけました。

カルシウム結合タンパク質 の一種であるS100A8/A9タンパク質は これまで
生体における炎症の単なる指標物質として知られていました。

しかし、資生堂らの研究によって、S100A8/A9タンパク質は炎症を引き起
こす原因物質であり、そのタンパク質に よって増加する炎症性サイトカイン
がさらにS100A8/A9タンパク質の発現を促し 負のスパイラルを形成して
いるということを世界で初めて発見しました。

「皮膚の慢性的な炎症メカニズム」として発表しています。

※ということは、「S100A8」タンパク質は以前から存在が認められていて、
皮膚の炎症の原因に なることは解明されていたところ、
今度は脂肪細胞の炎症にも関与していることがわかったのです。

この「S100A8」タンパク質は、近年がんの転移に関わる重要な因子
であることが解明され、 生体にとって重要な因子として注目されている
そうです。

面白いタンパク質ですね。目が離せません。

◆まとめ

免疫細胞は私たちの身体を守ってくれるものですが、アトピーや花粉症など、やっかいな病気も 引き起こすなんとも言えない存在です。

肥満になると脂肪細胞が「S100A8」タンパク質を放出してマクロファージを
呼び寄せて 脂肪細胞に炎症を起こし、メタボリックシンドロームになると
いうメカニズムは まさに自殺行為ですね。

どうして自然界はこんなことをするのでしょうか。
肥満になる人が増えると食糧危機になり人類が滅亡の危機に陥るのを避ける
ためなのでしょうか。

とにかく肥満にならないことですね。

肥満でなくても2型糖尿病になる人もいるのですが、それは遺伝が関わって
いるようです。

まだまだ糖尿病も完全には解明されていないようで研究の余地がありますね。

さらに研究を進めて、人間の知恵で免疫細胞をやすやすとコントロールできる
時代が来るといい なと思います。

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