不眠症の治療法が「今日の健康・不眠症治療最前線」で紹介!解説者は内村 直尚先生(まとめ)

2025年5月22日再放送の「NHK今日の健康 不眠症治療最前線」で、不眠症の治療法が紹介されました。
解説者は日本睡眠学会理事長で久留米大学学長の内村 直尚(うちむら なおひさ)先生です。

◆不眠症の治療法

❖不眠と不眠症の違い

不眠症状には、寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝早く目覚める、日中に眠気がある、などの症状があり、これらが週3回以上、長期間続く場合は「不眠症」の可能性があります。

心配事や環境の問題による一時的な不眠とは異なり、症状が長引くと不眠症として診断されます。
日本人成人の約30%〜40%が不眠症状を抱えており、特にストレスや加齢、更年期に関連しています。

●不眠症を診断するためのチェック方法

不眠症の診断には、世界保健機関(WHO)による「アテネ不眠尺度」が用いられます。
この尺度には、寝床に入ってから寝るまでの時間、夜中に目が覚める回数、朝早く目覚めてしまうことなど、8つの質問項目が含まれています。

特に「午前中に眠気が強く感じる」という症状が3回以上、長期間続いている場合は、
不眠症の疑いが高くなります。

●世界保健機関(WHO)による「アテネ不眠尺度」

1.「寝床に着いてから寝るまで時間がかかる」

2.「夜中睡眠の途中で目が覚める」

3.「予定していた時間より早く目覚めて、それ以降眠れない」

4.「睡眠時間が足りていない」

5.「睡眠の質に不満がある」

6.「日中の気分が落ち込んでいる」

7.「日中の活動状態が低下している」

8.「日中の眠気がある」
「アテネ不眠尺度より」

 

❖不眠症で起こるさまざまな症状

不眠症の影響は日中にも現れます。眠気の他にも、倦怠感や集中力の低下、抑うつ、頭痛、めまい、食欲の低下など、さまざまな体調不良が続くことがあります。
特に不眠症が引き起こす事故やけがのリスクにも注意が必要です。

 

❖ほかの病気との鑑別も大切

不眠症の症状は、睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群、うつ病など、他の疾患が原因であることもあります。
高血圧や糖尿病、パーキンソン病なども不眠を引き起こす可能性があるため、症状がある場合は早期に受診することが推奨されます。

 

❖不眠症の治療のやり方

不眠症の治療は、生活習慣の改善と薬物療法が中心です。

●生活習慣の改善

規則正しい睡眠時間を確保し、質の良い睡眠環境を作ることが重要です。
起床後は必ず朝食をとり、体内のリズムを整えることが大切です。

●薬物療法

睡眠薬が使われることがありますが、これは治療の最初の段階に限られます。
薬を使うことで、「きちんと眠れる」自信を持ち、日常生活のリズムを整えることが目的です。
その後、生活習慣の改善が進むと、薬の使用を徐々に減らし、最終的には薬なしで睡眠を取れるようになります。

使用される睡眠薬の種類

日本で使用される主な睡眠薬には、以下の3種類があります:

1.GABA受容体作動薬
脳の興奮を抑える神経伝達物質GABAの働きを促進し、脳の活動を休ませてくれる薬。

2.メラトニン受容体作動薬
体内時計のリズムを調整し、自然な眠りを促す薬。

3.オレキシン受容体拮抗薬
覚醒を維持する神経であるオレキシンを抑制することにより、睡眠を促進する薬。

これらは患者の症状や体調に応じて使い分けられます。

●不眠症の認知行動療法とアプリ

不眠症の治療として注目されているのが、認知行動療法です。この治療法は、生活習慣や行動だけでなく、考え方そのものを改善する心理療法です。
特に欧米では第一選択の治療法として広く採用されています。日本では、2023年に不眠症治療用のアプリが医療機器として承認され、今後の治療法として期待されています。

このアプリでは、睡眠データを入力し、AIが分析して改善策を提供する仕組みが導入されています。
これにより、自分の睡眠習慣や癖に気づき、認知行動療法を実践することが可能になります。

 

◆まとめ

不眠症の治療には生活習慣の見直しと、症状に応じた薬物療法が重要です。
さらに、認知行動療法や新たな治療法としてのアプリの活用も期待されています。

不眠症を早期に発見し、適切に治療することで、快適な眠りと健康的な生活を取り戻すことができます。

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