シンナー急性中毒の症状と原因や対処法!してはいけない応急処置
私(元気ナース)のシンナー中毒の記事
シンナー中毒の症状は?シンナーで脳が溶ける?治療法はない?
に毎日多数のご訪問をいただいています。
もっと詳細な情報が必要とされている
のではないかと感じるようになり
記事を追加していくことにしました。
お役にたてれば幸いです。
この記事の目次
◆シンナーとは
シンナーとは 英語で thinner うすめる(thin)ものという意味です。
その意味のごとく、シンナーは、うすめ液とも言われ、ラッカー,ペイント,ワニスなどの塗料を薄めて塗りやすくするために用いる溶剤です。
オシャレのため爪に塗るマニキュアにも使われていますね。
❖シンナーの条件
塗料をうすめるために使われるのですから、塗料の性質が変化しては
困ります。そこでシンナーの条件は
塗料に含まれる樹脂,セルロース誘導体,添加物などを析出しないこと
塗膜の白化を起こさないこと
なめらかな塗面を与えること
が重要です。私が子供の頃は、塗り物の表面が白く変色しているのを
多くみかけたものです。
❖シンナーの成分
溶剤の沸点、蒸発する速度、樹脂の溶解力、混和性を考慮して
- トルエン キシレン ベンゼン テレピン油
- その他の芳香族炭化水素類
- 酢酸エステル類
- アルコール類
などを混合してつくられます。
それらは有機溶剤と総称されています。
❖シンナーの性質
色々な成分が混じっており、特に接着,塗装,印刷,洗浄等のような作業に用いられる事が多いです。
シンナーに含まれる有機溶剤は、人体にとっては有害なものが多いので危険です。
主な性質は
- 揮発性が高く引火しやすい
- 水より軽く、水とは混じりにくい
- 刺激臭がある
- 沸点が決まっている
- 揮発性が高いので呼吸器から容易に侵入する
- 中枢神経の麻酔作用がある
- 脂溶性のため、すべての経路から体内に吸収され脳にも入り込む
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◆シンナーの急性中毒の原因
シンナー(有機溶剤)は高濃度を吸えば、急性中毒になり、低濃度でも長い期間吸えば慢性中毒になります。
揮発性を持っているものが多いので、短時間に多量を吸入することで
中枢神経が侵され、急性中毒を引き起こすのです。
特に、密閉されたタンクやトンネル、大きな槽など、閉鎖的な場所で、
高濃度の蒸気を吸うのが一番危険な原因です。
中枢神経とは脳脊髄にある神経ですので、症状は多岐に渡ります。
シンナーは、肺、腸管、皮膚のすべての経路から吸収され、麻酔作用がありますが、呼吸器で吸い込んだ場合の毒性は、口から飲んだ場合より140倍も毒性を発揮するとされています。
◆急性シンナー中毒の症状
急性シンナー中毒の症状について、軽度、中度、重度の症状、
シンナー遊びによる症状をまとめます。
❖軽度の症状
- 多幸感(たこうかん):
薬物などによる過度の幸福感や陶酔感のこと。 - 頭痛、めまい、耳鳴り
- 吐き気・嘔吐(おうと):はきけがしたり、はいたりすること。
- 不穏(ふおん):興奮したり、大きな声で叫んだり、暴力を振るったりしやすい状態。
- 意識障害:思考・判断・記憶などの能力が損なわれた状態。
- 皮膚症状:発赤、びらん、水泡(すいほう)
などが生じます。
❖中度の症状
- 運動機能異常:歩き方が変になったりよろけたりする。
- 意識消失:意識がなくなり失神したりする。
- 知覚異常:刺激に対して過敏になったり鈍感になったりする。
などが生じます。
❖重度の症状
死にいたる症状は過度の麻酔作用によるもので
- 呼吸抑制:呼吸困難とは違い、呼吸が弱くなる。
呼吸数が1分間に10以下になるなど苦しくはない。 - 心室細動(しんしつさいどう):心臓の心室の筋肉が細かく不規則に収縮する。
- 肺水腫(はいすいしゅ):肺に体液がたまる状態。
などが生じ、いずれも放置すると死亡します。
すぐに救急車を呼びましょう。
❖シンナー遊びによる症状
シンナーは今では法律で劇物に指定され、青少年が入手することは困難
になりシンナー遊びはほとんど行われなくなっているようです。
シンナー遊びに使うのはトルエンが主で、塗装用のシンナーとは
急性中毒症状が多少異なります。
シンナー遊びの急性中毒症状は
- 羞恥心(しゅうちしん)がなくなる:恥ずかしいことがなくなる。
- 幻覚(げんかく)や幻聴(げんちょう)が現れる:
実在しない画像が見えたり、実在しない音が聞こえたりする。 - 少々の刺激で異常行動を起こす。
などの症状が現れます。
❖慢性中毒では
造血機能の低下、肝臓、腎臓機能低下、中枢神経系の変性、
脳萎縮(のういしゅく)、骨の軟骨化などが報告されています。
(慢性中毒については、後に記事にする予定です。)
◆急性シンナー中毒の対処法と治療法
急性シンナー中毒の症状が現れたら、すぐに新鮮な空気の場所に移動
するか自力で動けない場合は移動させます。
その時、救助者自身が中毒を起こさないように注意が必要です。
上記のような重度の症状が現れたときは、すぐに救急車(電話119番)
を呼びましょう。
救助者は、シンナー(有機溶剤)などの容器等を救急隊員に渡すと
医師が原因を追求する助けになります。
皮膚や目にシンナーが付着した場合は流水で洗い流し、皮膚は
石鹸で洗います。
救急車を呼ぶほどでない場合は、内科を受診します。
❖治療法は
吸着剤(活性炭)を飲ませて、それぞれの症状に対応する対症療法
で治療が行われます。
活性炭は多くの物質と結合する吸着剤であり,表面積が広く、それ自身
は消化管から体内に吸収されないため,服用した中毒物質の吸収を
抑える働きが強いのです。
活性炭は、腸管閉塞,消化管穿孔である.また,腸管運動を抑制する
薬物の服用や麻痺性イレウスによる腸蠕動の低下時も,禁忌となります。
◆してはいけない応急処置
シンナー(有機溶剤)や石油製品の経口摂取で死亡する原因の多くは、
中毒ではないのです。
誤って飲んだり、胃の洗浄時に誤って気管に入ったりして、激烈な
化学性肺炎を引き起こすことが原因です。
したがってシンナーを飲んだとしても、決して吐かせたり胃洗浄を
行ってはいけません。このことだけは覚えておいて下さい。
◆急性シンナー中毒の後遺症
急性中毒では死亡することはめったにないものの、
シンナーは脂溶性のため、血液脳関門を容易に突破して
脳脊髄の中枢神経系に作用します。
そのため、大量に吸入すると中枢神経が変性して、
運動機能障害、知覚異常、自律神経障害など
の後遺症が残る可能性があります。
◆まとめ
シンナーとはどんなものか、シンナー急性中毒の症状と原因や対処法
、後遺症の可能性、してはいけない応急処置について、まとめました。
特に覚えておきたいのは、重度のシンナー急性中毒の症状と
してはいけない応急処置です。
シンナーを取り扱う人は注意が必要ですね。
それから青少年のシンナー遊びは困ったものです。
親や学校は、子どもたちに注意する必要があります。
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