老人肺炎の多くはむせが原因!筋力をチェックして予防する方法
総合病院で看護師をしていたときも、定年退職後
に、派遣ナースとして、老人介護施設勤務をした
ときも、
ご老人(高齢者)の多くが肺炎で亡くなるのを
見ていました。
そして、その肺炎の多くは、食事中にむせるの
が原因でした。
なんとかしてこの食事中にむせることが予防で
きれば、死亡原因第3位の肺炎がずっと減らせる
のではないかと思っていました。
そんな折、2016年8月7日にTBS「この差って何」で
食事中に「むせやすい人」と「むせにくい人」の差
が放送されたのです。
のどの筋肉低下のチェック法と予防法がとても簡単
でわかりやすいのでご紹介することにしました。
この記事の目次
◆むせる原因と誤嚥性肺炎への経過
❖嚥下(えんげ)
食事中にむせる原因は、喉(のど)の筋肉の衰えです。
人間の喉には気管と食道があり、呼吸をするときの息は、気管を
通り、食べ物は食道を通ります。
食べ物を飲み込む時は、喉頭蓋(こうとうがい)というフタ(弁)
が気管をふさいて、食べ物が「気管」ではなく、「食道」に送り
込まれます。
この食べ物を飲み込む動作を「嚥下(えんげ)」と言います。
難しい言葉ですね。看護師もパソコンを使用して記録するように
なったので、いまだに嚥下という漢字を書くことができません。
❖誤嚥(ごえん)とむせるメカニズム
喉の筋肉の力が衰えると、フタ(喉頭蓋)の閉まりが遅くなったり
弱くなったりするので、食べ物が「食道」ではなく「気管」に入り
やすくなってしまいます。
これを誤って飲み込むこと・誤嚥(ごえん)といいます。
右図の赤いのは食べ物です。
誤嚥すると、食べ物を吐き出そうとして「防御反応で咳がでる」のが「むせる」という現象です。
加齢により喉の筋力が衰え、食べ物が「気管」に入りやすくなってしまうのです。
❖誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)とは
誤嚥性肺炎とは、食べ物や唾液が気管に入ったまま、肺の中で雑菌
が増えて炎症を起す病気です。
日本人の死因の第3位が「肺炎」ですが、肺炎の70%は高齢者による
「誤嚥性肺炎」と言われています。
私の経験からもそれぐらいだと思われます。
◆反復唾液嚥下テスト
「反復唾液嚥下テスト」とは喉の筋力をチェックする方法です。
やり方は、30秒を測れるストップウォッチか時計を用意します。
次に人差し指を1本、のどぼとけの上部に横に当てます。
唾液を飲み込んでのどぼとけの動きを確認します。
嚥下するとのどぼとけがつり上がります。
30秒間に唾液を3回以上飲み込むことができたら、今のところ
正常です。
唾液が出ないと難しいです。30秒で10回唾液を飲み込めました
が、しまいには唾液がでなくなってストップしました。
2回以下の人は、飲み込む力が弱くなっているので要注意です。
すぐに下記の「開口訓練」をしましょう。
◆開口訓練
「開口訓練」は飲み込む力を鍛える方法です。
口を大きく開けて、10秒間そのままキープします。
これを5回繰り返して1セットとします。
1日に朝晩1セットずつやると、より効果的です。
「あー」と声を出しながら10秒間大きな口をあけていれば
声帯の筋肉も鍛えられます。
◆今回の指導者
喉の筋力をチェックして、老人肺炎を予防する方法を指導して
下さった専門家は、
東京医科歯科大学 准教授の戸原玄先生です。
著書は⇓⇓
◆まとめ
老人(高齢者)の肺炎の多く(70%)は、誤嚥性肺炎であること。
その原因は喉の筋肉が衰えることなので、自分の喉の筋力の衰え
をチェエクする、「反復唾液嚥下テスト」の方法と、筋力を
鍛える「開口訓練」をご紹介しました。
開口訓練をして、喉の筋肉を鍛えましょう。
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