白色脂肪細胞をベージュに変えてやせる方法発見!メカニズムは?
悪い脂肪(白色脂肪)を良い脂肪(褐色脂肪)
に変化させることにより、頑固な肥満症の人も
やせるかもしれない、というアメリカの研究結
果が2017年9月に、医学誌「セル・ジャーナル」
に発表されました。
そのメカニズムについて、分かりやすく説明し
ようと思います。
この記事の目次
◆白色脂肪細胞をベージュ脂肪細胞に変えるメカニズム
悪い脂肪と言われる「白色脂肪」は、主に皮下や内臓に付き、
カロリーをたくわえて肥満の原因になります。
一方良い脂肪と言われる「褐色脂肪」は、首や肩(肩甲骨)
の周りに付きますが、脂肪を燃焼して、身体を温めるので
体重が減ります。肩甲骨ダイエットが有名ですね。
❖脂肪の種類を変えるスイッチは「PexRAP」
今回、セントルイスのワシントン大学の研究者が発見した
のは、「白色脂肪の中のPexRAPという特定のタンパク質
をなくすると、白色脂肪を褐色脂肪に近い『ベージュ脂肪』
に変えられる」というものです。
「ベージュ脂肪は白色脂肪と褐色脂肪の中間に当たりますが
機能的には褐色脂肪に近く、同様に脂肪を燃やして熱を発生
するのです。
❖特定のタンパク質「PexRAP」の働き
PexRAPは、食べ物から得た脂肪をエネルギーとして蓄える形
(脂質)にする酵素です。
PexRAPが、白色脂肪細胞の中にはたくさんあるのに、褐色脂肪
細胞の中には少ししかないことから、研究者らは、PexRAPの量
の違いが、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の違いに関係している
のではないかと考えたのです。
そこで研究者らは、遺伝子を組み換えて、PexRAPを作らない
マウスを作ったところ、通常のマウスと比べて体のサイズが
小さく、エネルギー消費量が多くてやせたマウスになったの
でした。
このことで、PexRAPがなくなると、脂肪を蓄える能力が低下し
脂肪を燃やす能力が上がることが分かりました。
❖寒冷な環境でも脂肪が変化する
マウスを寒冷な環境に置いたところ、やはり白色脂肪の中の
PexRAPの量が減って、褐色脂肪に近い働きになったそうです。
人間も寒さを我慢すれば、ベージュ脂肪細胞を増やすことが
できるようです。
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◆将来の見込み
研究者たちは「人間を過熱しすぎることなく、白色脂肪中の
PexRAPタンパク質を減らす薬の開発は可能なはず」とコメント
しているそうです。
私たちのお腹の周りの脂肪を「ベージュ」に変えられる時代
はそれほど遠くはないようです。
参考文献:米国で研究結果が 悪玉脂肪を“ベージュ”に
変えて痩せる10/5(木) 9:26配信 日刊ゲンダイDIGITAL
◆まとめ
脂肪を蓄えるPexRAPという酵素を減らすと、
肥満の原因である白色脂肪細胞がベージュ脂肪細胞に変化
して脂肪を燃やしてやせることがわかりました。
肥満の治療やダイエットのために、PexRAPを減らすことが
できる薬の開発が待たれます。
メタボリックシンドロームの予防や治療にも役に立つので
はないでしょうか。
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