ダニ媒介脳炎のため北海道の函館で死者!症状やワクチン予防法は?

ダニ媒介脳炎に感染した北海道道南部の70代のmushi_daniダニ
男性が函館市内の病院で7月上旬に死亡した
ことがニュースになりました。

この男性は6月中旬に発症して、発熱や意識
障害などで入院していたとのこと。

ダニ媒介脳炎の感染は3例目で、死亡例は
これで
2例目。

いずれも北海道内とのことでした。

現在は北海道内にとどまっていますが、これから
は日本全国に広がることも心配されますので

ダニ媒介脳炎について調べてみました。

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◆ダニ媒介脳炎とは

ダニ媒介脳炎は、日本脳炎と同じフラビウイルス属のウイルスに
よる感染症ですが、日本脳炎とは違い、蚊によって媒介される
のではなく各種のマダニによって媒介され

ヒトに急性脳炎を発症させます。

「ダニ」と言うと家の中の畳やカーペットに住む小さなダニを連想
しますが、マダニはそれとはまったく別の種類の生物で、クモに近
い節足動物の仲間です。

マダニはほかのダニに比べて非常に体が大きく、通常は2mm~3mm
ぐらいで、小型のてんとう虫ぐらいの大きさですから、肉眼で
はっきり見えます。

血を吸った後は1cm(10mm)ぐらいにふくれます。

マダニの生息場所は、沢に沿った斜面や森林の笹原、牧草地などで
家の中や人が管理する場所にはほとんど生息しません。

❖ダニ媒介脳炎の種類

世界におけるダニ媒介脳炎の患者数は、1990年以降のデータに
よると、毎年6000人~10000人前後発生しており、ダニ媒介脳炎
の主な種類には、ロシア春夏脳炎ウイルスと中部ヨーロッパ脳炎
ウイルスがあります。

ロシア春夏脳炎ウイルスはシベリア地域及び極東地域に存在し
中部ヨーロッパ脳炎ウイルスはスウェーデン、ポーランド、
チェコ、スロバキア、オーストリア、ハンガリー、ロシア西部
などに分布しています。

日本の北海道内に存在するのは、ロシア春夏脳炎ウイルスと考え
られています。

国内初の症例で、1993年に北海道の酪農家の主婦がロシア春夏
脳炎ウイルスに感染した報告があり、ロシア春夏脳炎ウイルスが
道南地域のイヌに分布していることが分かっているからです。

❖感染経路

マダニなどによって噛(か)まれることで媒介される他、

稀に、感染した反芻動物(はんすうどうぶつ)の未加熱原乳を
飲んでも感染することがあります。

ヒトからヒトへは感染しませんが、極めてまれに、輸血や授乳
によって感染することがあります。

またヒトからヒトへ感染しないのと同様に、動物から直接感染
することはありません。

感染した動物の血を吸ったマダニに噛まれて感染するのです。

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◆ダニ媒介脳炎の症状

❖ロシア春夏脳炎の症状(日本にある症例)

潜伏期間は7~14日程度で、潜伏期の後に頭痛、発熱、悪心、
おう吐が見られ、精神錯乱・昏睡・痙攣(けいれん)および
麻痺(まひ) などの脳炎症状が出現することもあります。
致死率は30%です。

日本の北海道内においては、3例のうちの2例が死亡してい
ますので、致死率67%ですね。

❖中部ヨーロッパ脳炎

日本ではまだ症例がない脳炎ですが、一応書いておきます。

潜伏期間は、やはり7~14日程度で、二期にわかれて病状が
現れます。

第一期はインフルエンザの様な、発熱・頭痛・筋肉痛が1週間
程度続き、解熱後2~3日後に第二期にはいり痙攣・めまい・
知覚異常などの中枢神経系症状が現れます。脳炎症状が出現
することもありますが、致死率は1~5%とされ、ロシア春夏
脳炎より軽症です。

◆ダニ媒介脳炎の治療と予防

❖治療法

この感染症は発症した場合は、日本では治療法がなく、治療薬
もありません。
脳炎で脳損傷が見られた場合は入院して、支持療法を行います。

海外では血液製剤を使ったガンマグロブリン療法でかなりの効果
が見られていますが日本ではまだ行われていません。

❖予防法

海外では感染地域ではワクチンの予防接種が行われていますが、
日本ではまだワクチンが未承認のため、行われていません。

そのため、当面の予防法は

「草の茂ったマダニの生息する場所に入る場合には、長袖、
長ズボンを着用し、サンダルのような肌を露出するようなものは
履かないことが大事」

厚労省は都道府県に事務連絡をしています。

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◆まとめ

現在日本では「火あり」が上陸して大騒ぎをしていますが、
ダニ媒介脳炎は致死率が30%ですから、火ありより恐ろしい
気がします。

一日も早くガンマグロブリン療法や予防接種が日本でも承認され
て使用できるようにしていただきたいものですね。
日本紅斑熱や、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などもマダニ
によって媒介される感染症です。

森林の草むらや牧草地では、肌を出さないようにして予防しましょう。

顔や首など、どうしても肌を出すところにはマダニよけローション
も良いでしょう。

そして、野外でダニに噛まれた後、1週間内外で熱などの症状が
認められた場合は、速やかに総合医療機関を受診して下さい。

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