パーキンソン病の症状が出る前の診断と治療に役立つタンパク質発見
パーキンソン病は、ドーパミンという神経
伝達物質を作る脳の中の細胞が減ってしまっ
て、ふるえや、筋肉のこわばりが生じる病気
です。
しかし、このような症状が出る時には、もう
半分以上の細胞が変性していて、治療がむず
かしくなってしまうので、早期発見が課題に
なっていました。
この度、タンパク質「酸化DJ-1」を測定
することにより、パーキンソン病の症状が出
る前の早期に病気を診断して、早期治療にも
役立つことが発見されたとのことです。
どういうことなのか、調べてみました。
◆タンパク質「酸化DJ-1」とは
タンパク質「酸化DJ-1」とは、タンパク質DJ-1が活性酸素と
結合して酸化されたものです。
パーキンソン病を早期に見つけるマーカーになりうることを
同志社大生命医科学部の斎藤芳郎准教授らが発見したのです。
神経伝達物質であるドーパミンは、脳内で分解される時、細胞を
傷つける活性酸素を生じ、これがパーキンソン病の発症の原因の
ひとつと考えられていました。
しかしまだ不明な点が多く、活性酸素の除去技術もパーキンソン
病の治療に使える程には至っていません。
❖タンパク質「DJ-1」の役目
一方、タンパク質「DJ-1」は、活性酸素に酸化されると、「酸化
DJ-1」というタンパク質に変性して、活性酸素を除去し、身体を守
ることが分かっていました。
もしDJ-1の遺伝子配列に変異が起こり、その機能が低下すると、
遺伝性の「家族性パーキンソン病」を発症することが知られてい
ます。
タンパク質「DJ-1」は人にとって重要なタンパク質なんですね。
斎藤准教授らは、このタンパク質「酸化DJ-1」のパーキン
ソン病や活性酸素との関連性に着目したのです。
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◆パーキンソン病患者のタンパク質「酸化DJ-1」を測定
斎藤准教授らの研究グループは、酸化DJ-1を測定するにあたり、
酸化DJ-1に特異的に結合するモノクローナル抗体を作成して、
酸化DJ-1の測定方法を開発しました。
その後、この測定法により、パーキンソン病患者150人と
健常者33人の腕から採った血中の「酸化DJ-1」量を測定
したところ、
治療を開始する前の早期パーキンソン病患者(未治療患者)の
血液中(赤血球中)で「酸化DJ-1」が増加することを発見
しました。
また発症早期の患者ほど、血中レベルが増加する傾向が見られ
たのです。
さらに、薬物を投与して、パーキンソン病の症状を発症させた
カニクイザルでも、早期では血中の酸化DJ-1量が多いこと
が分かりました。
このことから
斎藤准教授は「酸化DJ-1」が早期診断のマーカーとして使える
可能性がある。活性酸素の除去も、有効な治療法として期待できる」
としているそうです。
※どうして、早期ほど「酸化DJ-1」が増加するのでしょうね。
ちょっと調べてみましたがわかりません。
◆まとめ
パーキンソン病は、アルツハイマー病に次いで、患者数が多い
神経変性病なのだそうです。
そう言えば、最近パーキンソン病の人の話をよく聞くように
なった気がします。高齢者が増えているせいでしょうね。
60歳以上では100人に1人が発症することが知られているとのこ
とです。
今回の発見によって、パーキンソン病の早期発見、早期治療が
できるようになれば、多くの人々が、手足のふるえや、姿勢の
維持、歩きにくいなどの苦しみから解放されるようになるで
しょう。
そして、介護の必要性もなくなることが見込まれます。
先ほどお亡くなりになった、聖路加病院会長の日野原重明先生
のように、105歳でもピンピンコロリと行きたいものです。
ご冥福をお祈りいたします。
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