脱毛症の最新治療法!髪の毛を生やす「種」を作る再生医療とは

再生医療の技術を活用して、脱毛症の最新治療法body_keana_good.png毛穴毛根
の開発と実用化を目指すために、

理化学研究所(理研)と京セラおよび再生医療
ベンチャーのオーガンテクノロジーズとが
共同研究を始めることが発表されました。

髪の毛が残っている頭皮から採取した細胞で
髪の毛を生やす「種」を作って増やし、それを
脱毛部に植えて髪を生やすというのです。

しかも一度植えれば生涯、髪の毛は生え変わり続けるという、
まるで植物を育てるような治療法にびっくりです。

どんな方法なのか学んだことをわかりやすく
解説したいと思います。

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◆髪の毛を生やす種とは

再生医療技術による治療では、髪の毛が残っている健康な頭皮から
少しだけ毛包を採取し、この毛包から2種類の幹細胞を取り出して
「再生毛包原基」という髪の毛の「種」を作ります。

京セラは、この種を機械で大量に製造するための技術協力
などを行うそうです。

※なるほど髪の毛を生やす種は、「再生毛包原基」という、毛包の
元になるものなのですね。

これは健康な頭皮から毛包を少しだけ切り取って、その毛包
から2種類の幹細胞を取り出し、その2つを結合するとできるようです。

発毛の鍵は毛包にあるのです。

❖毛包(もうほう)とは

毛根を包む組織で、毛根を保護し,髪の毛を作り育てていく
組織のことです。
毛包がダメージをうけると髪の毛が再生されなくなってしまうのです。

そこで、毛包を臓器として再生させることができれば、髪の毛を
生やすことができ、根本的な治療になるのです。

うれしいことに、毛包は出生後に再生を繰り返す唯一の器官
であるため成人したあとも、

毛包を再生させる上皮性幹細胞と間葉性幹細胞の2種類の
幹細胞を、採取することができるのです。

fig1.jpg成体毛包

 

 

 

 

 

(出典:理化学研究所 広報活動より)

❖上皮性幹細胞と間葉性幹細胞について

幹細胞とは
生体のさまざまな組織の細胞に分かれる(分化する)能力と,
分裂を繰り返しながら増殖していく能力をもつ細胞のことです。

そして、私たちのほとんどすべての臓器(器官)は、
上皮性幹細胞と間葉性幹細胞という2種類の幹細胞から作られます。

胎児の発生段階で、この2種類の幹細胞がからだのどの位置にあるかによって、
ここは毛包ができる場所、こっちは腎臓ができる場所などと、人体計画が
決められ、それぞれの器官が発生するのです。

そこでこの研究では、すでに髪の毛になることが運命づけられ
ている毛包から上皮性幹細胞と間葉性幹細胞を取り出し
培養して結合するのです。

この方法もすでに完成しています。

上皮性幹細胞とは

体表面をおおう「表皮」、管などの粘膜の「上皮」、分泌や吸収機能を
担う臓器の上皮である細胞に分化したり増殖する細胞です。

間葉性幹細胞とは

上皮幹細胞以外の細胞に分化、増殖する細胞のことです。

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◆再生毛包原基による毛包再生治療モデル

0703_kogi01.jpg 京セラ毛包器官再生

(出典:京セラ再生医療「毛包器官再生による脱毛症の治療」)

上記の方法が従来の方法で、下記が再生医療技術による
毛包の再生法です。

★2012年に、理化学研究所の研究チームによって、再生医療技術に
よる毛包の再生法はマウスの背中の実験では成功しています。(下図)

img08.jpg再生毛移植マウス

 

 

 

 

 

 

(出典:理化学研究所 広報活動より)

◆再生医療技術による脱毛治療法のメリット

培養して100倍~1000倍に増やすことができるのが最大のメリット
です。そのため切り取る皮膚も最小限に抑えられます。

自分の細胞を使って作られた毛包の種なので、増やして植えても
拒絶反応が少ないと考えられます。

●残念なこと

女性の脱毛はまだメカニズムが解明されていないため、この治療が
受けられるのは当分の間、男性のみになるでしょう。

薄毛や抜け毛に悩む女性も増えていますので、有効な治療法が
はやく開発されることを期待します。

◆毛髪再生実現へのステップ

  1. マウスから採取した幹細胞を生体外で増やす技術の開発。
  2. ヒトの毛から2種類の幹細胞を採取し培養し、マウスに
    ヒトの毛を発生させる研究をする。
  3. ヒトの再生毛をヒトへ移植する臨床実験を行う。

研究チームは、2018年まで研究を行い、2020年以降の
実用化を目指すそうです。

もしこれが実現すれば、世界で初めての器官そのもの
を再生する治療法になるとのこと。

◆まとめ

髪の毛を生やす「種」とは、髪の毛を生産して成長させる毛包
という臓器を発生させる元になる2つの幹細胞のことでした。

私たちの身体の臓器(器官)は、上皮性幹細胞と間葉性幹細胞
という2種類の幹細胞から作られ、場所によってどんな臓器が
できるかが決められるというのもびっくりです。

とにかく、この治療法が完成すれば、脱毛治療の革命になる
ことでしょう。

まだ女性に応用できないのが残念です。
女性の方の研究も急いで欲しいですね。

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