風邪に抗生物質は効かない!処方する意味なし!耐性菌を増やすだけ
クローズアップ現代(2015年11月17日放送)で、抗生物質の耐性菌が増加して、今まで抗生物質で治っていた病気が治らなくなる現象が起きている。
このままでは医療が成り立たない時代がくるだろうと、警告していました。
耐性菌が増えた原因は風邪で受診した患者さんに 、医師がやたらと抗生物質を処方したからではないかと思います。
風邪に抗生物質を処方しても耐性菌を増やすだけであることを一緒に考えましょう。
この記事の目次
◆風邪に抗生物質が効かない理由
抗生物質とは
細菌が、自分の陣地を広げるために,他の細菌の細胞の発育または機能を阻害するために産生する物質です。
最初に発見された抗生物質がペニシリンとのこと。
近年では合成されたものもできるようになったので、合わせて「抗菌薬」と呼ばれています。
抗菌薬は字が表す通り、菌すなわち細菌に効く薬なので、ウィルスが主な原因(90%)である風邪には効かないのです。
また風邪の原因になるウィルスは100種類程もあるので、それらのすべてに効く抗ウィルス薬などありません。
どの風邪にも効く抗ウィルス薬が発見されたら、それこそノーベル賞ものだと言われています。
ですので本当は風邪に効く薬はないのです。
いわゆる風邪薬は、症状を抑えるためのものでしかありません。
細菌とウィルスの違い
細菌は「ばい菌」とも言われている微生物で、細胞を持ち、自分で増殖できる単細胞生物です。
水分と栄養と温度があれば細胞分裂をして自己増殖します。
一方ウイルスは細菌と違い、細胞を持たず遺伝子であるDNAとそれを包むタンパク質の殻だけからなる微粒子で、生物かどうかはっきりしていません。
他の生物の細胞に寄生して、自分のコピーを作ります。
コピーが増え続けるとやがてその細胞は破裂して死んでしまいウィルスは他へ飛び散り、他の生物に寄生します。
細菌とウイルスは大きさが全然違います。
細菌は1~5㎛(マイクロメートル=1mmの1000分の1)、
ウイルスはほとんどが300㎚(ナノメートル=1mmの100万分の1)以下です。
細菌は光学顕微鏡で見えますが、
ウイルスは電子顕微鏡でないと確認できません。
ウイルスは細胞に取り付くわけですからが小さいわけですね。
抗生物質がウィルスに効かない理由
抗生物質は多細胞生物(人間など)の細胞の遺伝子が膜で覆われているのに対し、細菌の細胞は遺伝子が膜で覆われていないなど
多くの異なる点を利用して細菌にだけに効くようにした薬です。
そのように抗生物質は細胞の構造を利用する薬なので、細胞がないウィルスには効かないのです。
一方ウィルスは、特定のウイルスの増殖をおさえる抗ウィルス薬は存在しますが、ウイルスを消滅(殺す)させる薬はありません。
細胞をやっつけることができる細菌とちがって、細胞を持たないウィルスをやっつけるのは困難なのです。
ウィルスは人間などの細胞に寄生しているので、ウィルスをやっつけようとすると人間などの細胞をこわしてしまうからです。
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◆風邪に抗生物質を処方する理由
昔は薬を多く処方したり、高い薬を処方すると病院や開業医が儲かる仕組でしたので、やたらに抗生物質が処方されました。
その理由は、「風邪ウイルスの感染によって体の抵抗力が弱まっているときに、別の細菌が感染するのを防ぐのだ」とのことでした。
それなら、「お年寄りなど体の弱い人にだけ処方すればいい」と思いましたが、その頃はすべての風邪患者に処方されていたようです。
やはりお金もうけだったような気がします。
私はもう40年以上、風邪やインフルエンザで受診したことがないので、実情は分からないのですが、制度が変わって、薬を増やしてももうけることはできなくなったそうです。
それでも処方する医師がいるならば、やはり昔の概念で心配だからでしょうか。
◆無意味な理由
最近の研究で、風邪患者に抗生物質を処方しても、肺炎などの予防にはならないことが分かったそうです。
その論文の詳細はわからないのですが、
それなら身体の弱い人に抗生物質を処方するのも無意味に思われます。
細菌に感染してから処方してきっちり殺菌したほうが効果的なのでは
ないでしょうか。
◆耐性菌の危険
抗菌薬を気軽に処方することによって、薬に耐えられるようになり抗菌薬が効かない耐性菌が増え続けています。
その耐性菌をやっつける薬の開発がすすまず、このままでは、今まで治すことができた病気を治せなくなる危険な時代がくるかもしれないのです。
それは大変なことです。
世界中で耐性菌が問題になり、世界WHO(世界保健機関)は、
世界中で抗生物質の適正な利用を呼びかける「抗菌薬啓発週間」
(2015年11月16~22日)を今年始めてスタートさせました。
今がまさにその「抗菌薬啓発週間」の真っ最中です。
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◆WHOが抗菌薬啓発週間で呼びかけている4原則とは
(1)求めない:余計な抗菌薬は医師に求めないこと。
患者が欲しがると処方する医師がいます。
気になることは遠慮なく医師に相談しましょう。
(2)飲むならきちんと:抗菌薬は最後まで飲み切る。
抗菌薬を使用するときはその細菌を完全に殺す分量が
処方されているので、最後まで飲み切らないと、
細菌が生き残って耐性菌になってしまいます。
(3)もらわない:不必要だと思われる抗菌薬は医師にも断る場合
も必要です。よく理由をききましょう。
家族や友人から飲み残しをもらうなど論外です。
丁寧に断りましょう。
(4)あげない:飲み残してはいけないのですから、他人にあげるなど
ありえません。
日本でも国立国際医療研究センターの国際感染症センターが中心となり、
医師や市民に対して適正使用を呼びかけているそうです。
まだ私たちのところには届いていませんが、この4原則を守ることによって
耐性菌が増えるスピードを弱くし、今ある抗菌薬をできる限り長く使うこと
ができるそうです。
まずは処方する医師に徹底的に伝えていただきたいですね。
◆まとめ
抗菌薬は細菌を殺す薬なので、ウィルスが主な原因である風邪やインフルエンザには効かない。
それどころか、耐性菌を作るもとになるので、医師が処方しても断るべき。
WHOの抗菌薬啓発4原則、(1)求めない(2)飲むならきちんと(3)もらわない(4)あげない
を守って、今ある抗菌薬をなるべく長く使えるように、
私たちも頑張りましょう。
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