ピロリ菌の検査と除菌の最新情報!がんになる仕組み費用や病院は
きょうの健康(8月1日)で
ピロリ菌の検査と除菌の最新情報!が
放送されました。
知らなかった新しい情報が色々ありました。
ついでに、ピロリ菌について調べたことや、
学んだことをまとめておきます。
この記事の目次
◆ピロリ菌とは
ピロリ菌とは人間の胃の中に住んでいる細菌で、
正式名は英語で、Helicobactor pylori(H.pylori:ヘリコバクター・ピロリ)
と言います。
ヘリコは「らせん」を意味し、バクターはバクテリア (細菌)、
ピロリは胃の出口(幽門)を意味する古代ギリシャ語からきている
ようです。
体長は約4ミクロン(4/1000mm)で非常に小さく4~8本のべん毛
を持ち、そのべん毛を回転させ、らせん状に移動します。
※らせん状に移動するとはすごいですね。どんな所でも進んで
いけそうです。
❖ヘリコバクター・ピロリ菌の発見
ヘリコバクター・ピロリ菌は1980年代前半に、オーストラリアの研究者らによって発見され、
急性胃炎や慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍の原因となっていることが明らかにされました。
その業績により、彼らは2005年にノーベル医学生理学賞を受賞しています。
その後、ピロリ菌は他にも様々な胃の病気の原因になることが解明され、
なんと胃がんの原因にもなることが分かったのです。
❖ヘリコバクターピロリ菌の除菌療法が保険適応となる
日本の研究者によって、ヘリコバクターピロリ菌の胃への感染が胃がんの原因であること。
その除菌治療により胃がんの予防効果が認められることが世界的権威のある論文(Lancet)
に掲載されました。
その論文がなどにより、2013年2月からH.pylori感染性胃炎に対してH.pyloriの除菌療法が
保険適応となりました。3年前の比較的新しい出来事です。
しかしH.pyloriの除菌療法を行ってもがんの発生を100%予防することは
できず、1/3の患者さんで新たな胃がんが発生してくるのだそうです。
※ということは、ヘリコバクターピロリ菌だけが、胃がんの原因ではなく、
他の原因もあるということでしょうか。
新たながんができやすい人はどのような方なのでしょうか?
そのような患者さんを見つけるために兵庫医科大学などで
は臨床研究が行われています。
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◆ヘリコバクターピロリ菌の感染経路
ヘリコバクターピロリ菌が感染症だとすれば、どうやって感染するのか
心配になりませんか。
そしてどうしたら感染を防ぐことができるのか知りたいですね。
日本消化器病学会によれば、
ピロリ菌は世界の全人口の約50%、我が国でも約50%弱のひとに
感染しています。
感染経路はまだまだ謎ですが、衛生環境が整備されていない時代や
地域などでの経口感染によると考えられています。
❖キスで感染するの?
経口感染するといっても、大人のキスや通常の接触で感染することはありません。
免疫機能が十分に発達していない幼児期に感染することがほとんどなので
大人になってから、ピロリ菌感染者とキスをしても、感染する心配は
ほとんどないそうです。
❖乳幼児から10歳までの子供は注意
感染には、縦の感染と横の感染の二種類があります。
縦方向の感染経路は、日常的に接する母親からの感染が多いと考えられます。
ピロリ菌に感染している母親が口移しに子供に食べ物を補給するのも原因の一つと考えられています。
横方向の感染経路として、保育所や幼稚園などのひとが大勢集まる場所での感染があります。
ピロリ菌に感染した子供の嘔吐した吐物に触れた手で、他の子供や食物などに触れ、
それが口に入った場合などに感染することが考えられます。
❖我が国のピロリ菌感染は高齢者に多い
60歳以上の人に感染者が多いのは、戦後まだ衛生環境が整っていなかったので、不衛生な水道水
を飲んだりしたのが原因と考えられています。
したがって、衛生環境が良くなった現在の10代の人々では感染者は10%未満まで下がっています。
◆ピロリ菌でがんが発生する仕組み
- 口からピロリ菌に感染する。
- ピロリ菌が胃の粘膜をおおっている粘液の中に住み着く。
- ピロリ菌の出す毒素により、粘膜が次第にこわされ炎症が
おこり、ピロリ感染胃炎になる。 - 胃炎が何年も続くと、炎症によって粘膜細胞の遺伝子が
傷つき、胃がんが発生する。
ピロリ菌に感染している期間が長いほど、胃がんを発生
しやすくなることがわかりました。
従って、ピロリ菌に感染しなくなる中学生以上の人は
ピロリ菌検査は一回すればいいので、受けることが
おすすめです。
❖ピロリ菌検査をすぐするべき人
- 血縁者や家族に胃がんの人がいる。
胃がんになりやすい家系であるか、同じ環境で育ったことで
感染している可能性がある。 - 塩辛いものをよく食べる。
胃が刺激されて炎症を起こしやすい。 - タバコを吸う習慣がある。
- 胃痛を感じることがある。
胃炎や胃がんがあるかもしれない。
胃炎や胃がんがあっても自覚症状がないことも多い
そうですのでやはり検査は全員受けるべきです。
◆ピロリ菌感染検査について
❖検査する場所と費用
胃炎や、胃痛などの症状があれば、病院の内科や消化器内科
で、健康保険を使って検査ができます。
自覚症状がなく、自主的に検査する場合は、内科や消化器内科
の他に、人間ドックや、自治体や企業の健康診断などでできます。
自主的な検査の場合は、全額事故負担の場合もありますが、
3,000~5,000円です。
❖ピロリ菌感染の検査法
ピロリ菌の感染検査は、主に下記の3種類あります。
はっきりしない場合は複数の検査をします。
- 尿素呼吸試験
検査用の薬をのんだあとに吐いた息を調べる。
ピロリ菌が持つ尿素分解酵素により、胃中の尿素(検査用薬)
が分解されてアンモニアと二酸化炭素になるので、
呼気の二酸化炭素が増える原理による。 - 血液や尿を調べる抗体検査、
ピロリ菌がいれば、ピロリ菌の抗体がある。 - 便を調べる便中抗原検査
便の中にピロリ菌やピロリ菌の死骸があるか調べる。
❖ピロリ菌の感染がわかったら
胃の内視鏡検査を行い、胃炎や胃がんなどがないか
胃の粘膜の状態を調べます。
◆ピロリ菌の除菌治療
検査によりピロリ菌の感染が判明し、胃の内視鏡で
ピロリ菌感染胃炎と診断されると、保険で飲み薬
による除菌治療が受けられます。
1次治療:2種類の抗菌薬(アモキシシリンとクラリスロマイシン)
+胃酸の分泌を抑える薬
合計3種類の薬を、1日2回、7日間飲み続ける。
治療終了後1~2か月後にピロリ菌の検査を行い、感染して
いなければ治療終了です。
ピロリ菌が残っていれば、次の2次除菌を行います。
2次治療:2種類の抗菌薬(アモキシシリンとメトロニダゾール)
+胃酸の分泌を抑える薬
1次治療と同様に合計3種類の薬を、1日2回7日間飲み続ける。
※胃酸の分泌を抑える薬は、抗菌薬が胃酸によって効かなく
なるのを防ぐためです。
カリウムきっ抗型胃酸分泌抑制薬やプロトンポンプ阻害薬など
が使われます。
1次治療と2次治療を合わせると、除菌の成功率は99%以上とのことです。
❖ピロリ菌がいなくても胃がんになる場合
胃粘膜をピロリ菌によってすっかり破壊されて、ピロリ菌が住めなくなって
いて胃がんになる人もいます。
そういう人は胃粘膜が萎縮(ちぢまる)しているので、胃の内視鏡で
わかります。
一度は胃の内視鏡検査もうけましょう。
◆まとめ
ピロリ菌は正式名をヘリコバクターピロリと言って、胃がんの原因であること。
経口感染するが、感染するのは10未満の免疫力が弱い子供時代に、
母親からの口移しや、不衛生な水道水を飲んで感染するが
中学生以上になって感染することはほとんどないこと。
ピロリ菌でがんが発生する仕組みや、新しい検査法と除菌治療法。
検査できる科や機関、検査費用などについて学びました。
日本では毎年1約13万人が胃がんにかかり、そのうち5万人が亡くなって
いるそうで、減少していないということに驚きました。
ピロリ菌が原因とわかったからには、あなたも検査した方が良いですよ。
ちなみに元気ナースは胃カメラの検査で、こんなにきれいな胃袋は
めったにない、ピロリ菌がいるはずがないと、ピロリ菌の検査を
してもらえませんでした。
金儲け主義でないりっぱな医師ですね。
スタジオの専門家は兵庫医科大学の 三輪 洋人(みわ・ひろと)
主任教授でした。
プロフィールは
専門:消化器内科、胃や食道の病気の診断と治療
経歴:1982年鹿児島大学医学部卒業
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