がん遺伝子治療の仕組みはシンプル!分かりやすく説明してみた  

新がん対策として、政府が「ゲノム医療」をdna 遺伝子
推進する基本計画を決定したこともあり、

がんの遺伝子治療が気になりだしました。
まだまだ先のことだと思っていたからです。

がん遺伝子治療とはどういうものなのか
調べてみても、むずかしい言葉が並んで
いて、最初はよくわかりませんでした。

筆者・元気ナースが現役だった頃は聞いた
こともない言葉でしたからね。

それでも色々なサイトを読んでいるうちに、何となく分かっ
てきました。

すると意外にシンプルなことに気づいたので、私と同様に、
がん遺伝子治療がよく分からない方のお役に立つかもと思い、
分かりやすいように説明をしてみました。

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◆がん遺伝子治療とは

❖目的とする遺伝子を体内に入れて働かせる治療法

がんに対する遺伝子治療とは、目的とした遺伝子を細胞の中
に入れて働かせることによって、がんの原因である遺伝子の
異常を改善する方法です。

遺伝子治療は、ヒトの遺伝子そのものを変えたり、ヒトの体
に危険な遺伝子を組み込んだりするものではありません。

「体の中で目的とした遺伝子産物」を作るというシンプルな
手法なのです。

そのため、最近の遺伝子治療には大きなリスクはないだろう
と考えられています。

それでも、臨床研究で安全性を確認することはもっとも重要
なこととされています。

❖遺伝子の異常の治療法は

がんは遺伝子の異常で発生しますが、その原因は2つしか
ないそうです。

それは
「働くべき遺伝子が働かなくなってしまう」又は
「働かないで欲しい遺伝子が働いてしまう」の2つです。

ではそれぞれの治療法について

1.働くべき遺伝子が働かなくなってしまう

この場合は、遺伝子補充療法と言って、働かなくなった
遺伝子の代わりの遺伝子を補充します。

大抵はがん化を防ぐ「がん抑制遺伝子」が働かなくなって
いるようです。

2.働かないで欲しい遺伝子が働いて暴走してしまう

大抵は遺伝子に傷がついて細胞増殖のアクセルが踏まれた
ままの状態になるがん遺伝子が、働かないで欲しい遺伝子
です。

この場合は、働かないで欲しい遺伝子を抑え込む遺伝子を
投入します。

遺伝子の数は多いので、様々な遺伝子を入れることになり
ますが、原理は簡単です。

働くべき遺伝子が働かなくなったら遺伝子を補充し、働かない
で欲しい遺伝子が働いたら、抑える遺伝子を入れるだけです。

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◆薬剤治療と遺伝子治療のちがい

実を言うと、薬剤治療と遺伝子治療は根本的にはあまり違い
はないのだそうです。

ホルモン製剤も分子標的薬も、ヒトが体内で生産できなくな
った生体物質そのものを体外から補充したり、暴走する遺伝
子に作用させて、その遺伝子を抑える働きをするのですが。

遺伝子治療は体内に遺伝子を入れて、その遺伝子に生体物質
を作らせるところが違うのです。

つまり、身体の外で作って体内に入れるか、体内で作って
がんに作用させるかの違いだけです。

※分子標的薬とは
がん細胞の増殖や転移をおこなう特定の分子だけを狙い撃ち
にする薬剤なので、正常な細胞へのダメージが少なくなって
いる薬です。

❖薬剤治療と遺伝子治療の費用のちがい

薬を体外で作って管理するのは、保管などの温度管理や環境
など、とても大変です。材料をそろえるのも他から運ばな
ければなりません。

しかし、遺伝子治療なら、材料はヒトの体内にあり、保管も
体内でできますから、費用はかなり安くできるのではないで
しょうか。

 

◆遺伝子を体内の細胞に運ぶのはウィルス

現在もっとも有効だと考えられて使用されている遺伝子の
運び屋(ベクター)は、遺伝子治療薬研究の第一人者である
アメリカのローフェン博士が開発したウイルス性を持たない
ベクターです。

レンチウイルスの病原性を完全に排除し、運び屋としての
役割のみを追求して作り上げたものとのこと。

❖ウィルスは遺伝子をどうやって体内の細胞に運ぶのか

ウイルスには、遺伝子を自分自身で複製する装置がないので
他の細胞に感染して、自分のDNAやRNAを注入し、感染した細
胞の自己複製装置を利用して増殖します。

ウイルスは自分の遺伝子を目的の細胞に入れるきわめて巧妙
な仕組みを持っているので、ヒトはそれを利用するのです。

ウィルスというと怖い気がしますが、毒性はなく安全は確立
されているそうです。

でも、実際は厳密な臨床試験を行ってから実用になるとのこと。

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◆遺伝子治療の問題点と現状

がん遺伝子治療法にはまだ色々な問題点があります。それらは

  • 1.遺伝子の運び屋(ベクター)の安全性

毒性をなくしてはいるが、ウィルスを感染させるので、風邪
様の症状や注射をした場所が痛くなるなどの炎症がおこる場
合があります(多くの場合非常に軽い)。

  • 2.入れた遺伝子が作り出す物質(遺伝子産物)による副作用

遺伝子産物によっては今まで経験したものとは異なる副作用が
発現する可能性があります。

  • 3.遺伝子が細胞に入るとき患者さんの遺伝子に傷がつく可能性

過去にフランスで、患者さんの遺伝子に傷がついて白血病
が発症した例があるそうです。

これは重要な問題ですが、現在は、遺伝子に傷をつけない方法
が急速に開発されています。

九州大学では「センダイウィルス」をベクターにする遺伝子
治療の臨床試験が実施されていますが、センダイウィルスは
細胞の核に入らないため遺伝子を傷つける可能性が少ない
と言われています。

それでも動物実験では完全にはわからないので、臨床試験で
安全を確認することが大事です。

 

◆世界や日本で実施されている臨床試験の数

九州大学の中西教授によると、米国の臨床試験のデータベース
であるClinical trials.govから推測すると、現在実施中の臨
床試験は全世界で約100~200試験程度あるようです。

一方、日本では、10試験程度の臨床試験が実施中で、すでに
有効性や安全性が確認され、FDA(アメリカ食品医薬品局)で
薬事承認されたものもあると言います(2017年3月10日更新)。

発表されている数値がサイトによって皆違うので今回はこれだけ
にしておきますが、日本は西欧諸国に比べて6年以上遅れている
と言われています。

❖日本で実施が承認されている臨床研究

遺伝子治療の臨床研究に参加したい方は、この下の青いリンク
をクリックして連絡してみて下さい。がん以外の遺伝子治療も含みます。

臨床研究の参加はだいたい無料だと思われます。
日本で実施が承認されている遺伝子治療臨床研究一覧 (治験も含む)
東京大学医学部付属病院臨床研究支援センター

◆まとめ

がんの遺伝子治療について、できるだけ分かりやすくまとめ
てみました。お分かりいただけたでしょうか。

遺伝子治療とは、ヒトが産生できなくなった生体物質を、
遺伝子を体内に入れて、体内で作らせることによって、
遺伝子の異常を修正したり、暴走を抑えたり、自然死(アポ
トーシス)に導いたりしてがんを治す治療法です。

根本的には、薬による治療法とあまり違わないことが分かり
ました。

しかし、がん遺伝子治療は、取り扱いが容易で耐久性もある
ことから、医療費を安くできる可能性が大です。

また副作用もあまりないこと、早期に発見ができることなど
メリットも多いので、癌治療の1つの選択肢として有望だと
考えられます。

しかし、まだ臨床試験段階で、臨床試験をやっている医療機関
も限られています。

遺伝子治療と言われて300万円払って治療を受けたが失敗した
というようなトラブルが後をたたないようですから、お気をつ
け下さい。

何か間違いが見つかりましたらコメントお願いいたします。

◆参考文献

【特集】がん遺伝子治療の現状と今後~九州大学 中西洋一教授に訊く~https://oncolo.jp/feature/gene-therapy-2
一般社団法人 がん先端治療 遺伝子治療https://sentanchiryou.com/lp/

遺伝子治療体験者のブログ
https://ameblo.jp/46idenchonoko/page-13.html

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