オキシドール注射で切らずにすむ乳がんの放射線治療の仕組みとは

乳がん患者である友人から、オキシドールで乳がんmedical_nyugan.png乳がん
の治療ができるらしいとの報告を受けて驚きました。

オキシドールは安価な消毒剤です。
どういう効果があって、そんなことができる
のか非常に興味が湧きましたので、
調べてみました。

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◆放射線治療でがんが治るのは2つの原理による

❖放射線治療の第1の原理は

放射線のエネルギーによって細胞の遺伝子(DNA)を切断して、
細胞分裂をできなくすることです。

そうすれば、がん細胞は増えることができず、小さくなります。

❖放射線治療の第2の原理は

酸素に放射線が当たることにより、酸素が活性化してフリーラジカル
(活性酸素)が増え、活性酸素の力によって間接的にDNAを切断して、
細胞分裂をできなくするのです。

活性酸素は細胞を傷つけ、老化させる働きがあるのはよく知られて
いますよね。

活性酸素はがんをやっつけることができるのです。

一方で正常な細胞を傷つけてがん化する作用もあるやっかいな物質
でもあります。

したがって放射線治療の効果を上げるには、活性酸素はを作るため
に酸素が必要なのです。

◆がんは大きくなると酸素が欠乏する

❖抗酸化酵素(ペルオキシダーゼ)の増加

がんは大きくなるほど自分を守るために、酸化を抑える抗酸化
酵素(ペルオキシダーゼ)を細胞内に増やします。

そのためがん細胞は、直径2~3センチになると毛細血管から遠い
部分が酸欠になり、放射線の効果は2分の1に、

さらに直径5センチを超える大きながんでは、酸欠細胞と抗酸化酵素
だらけとなり、放射線治療の効果は3分の1程度までに低下してしまう
のだそうです。

❖放射線の治療効果を高めるには

人間は酸化すると細胞が死んだり老化しますから、健康人にとって
は抗酸化酵素が働くことは、酸化を防ぎ老化を抑制することになります。

しかし、大きくなったがんは、酸欠細胞と抗酸化酵素が増えて、
放射線の治療を妨げます。
そこで、抗酸化酵素の働きを弱めてがんの酸化を促進させ、そこに
放射線を当てれば、治療効果が高まるというわけです。

❖抗酸化酵素の働きを弱める物質がオキシドール

ようやく結論が見えてきましたね。

オキシドールに、抗酸化酵素の働きを弱める作用があるというのです。

しかも、オキシドールは過酸化水素水(H2O2)の3%水溶液です。
水(H2O)に酸素原子Oが一個くっついただけのものなので、酸素原子
がとれてすぐに活性酸素を発生します。
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◆酵素標的・増感放射線療法KORTUC(コータック)

❖KORTUC(コータック)の仕組み

そこでオキシドールをがんに注射すると、抗酸化酵素が不活性化し、
酸素が発生します。

そこへ放射線を照射すれば、さらに活性酸素が発生して、がん細胞が
やっつけられるのです。

現在はオキシドールを患部にとどまらせるためにヒアルロン酸を
混ぜて注射しています。

これがKORTUCの(コータック)の仕組みです。

❖オキシドールは体内でも作られる

あなたは、体内にあの消毒薬であるオキシドールを注射するなんて
とんでもないと思うかも知れません。

しかし、実は、オキシドール(過酸化水素)は体内でも作られて
いるのです。

身体の3分の2は水(H2O)です。
人間が常に浴びている少しの、放射線が水に当たるとHO が発生し
それが2個くっついて過酸化水素(H2O2)になります。
つまり、体内では過酸化水素が常に作られ、酸化や殺菌作用を行って
いるのです。

◆KORTUC(コータック)の開発者と治験実施病院

❖コータックの開発者

オキシドールを使用する放射線治療法KORTUC(コータック)
を開発したのは

兵庫県立加古川医療センター(加古川市)の小川恭弘(やすひろ)
院長(62)で日本増感放射線療法KORTUC研究会の会長です。

切除手術が不要なことから、主に乳房が温存できる乳がん治療と
して広がりつつありますが、皮膚や肝臓、膵臓(すいぞう)、
腎臓がんにも利用されているそうです。

小川院長は、「費用も、従来の放射線や抗がん剤による治療費
に加え、1回数百円の注射計5回分で済むので、ぜひ普及させ
多くの患者を救いたい」と話しておられます。

今後は臨床試験を増やし、公的医療保険の適用を目指すとの
ことです。

 

❖現在コータックの治験が実施されている病院

神戸低侵襲がん医療センター(神戸市中央区)

大阪医科大(大阪府高槻市)、

長崎県島原病院(長崎県)、

東京放射線クリニック(東京都)など
で多数の実施例があるそうです。

❖お問い合わせ

お問い合わせをなさりたい方は

神戸低侵襲がん医療センター
TEL078・304・4100
までどうぞとのことです。。

◆まとめ

放射線治療でがんが治るのは2つの原理によります。

1つは、放射線のエネルギーによって細胞の遺伝子(DNA)を切断
して、細胞分裂をできなくすること。

もう1つは、酸素に放射線を当ててフリーラジカル(活性酸素)
を増やして、活性酸素の力によって間接的にDNAを切断して、
細胞分裂をできなくするのです。

しかし、がんが大きくなると、自分を守るために、酸化を抑える
抗酸化酵素(ペルオキシダーゼ)を細胞内に増やすので、放射線
が効きにくくなるのです。

そこへオキシドールを注射すると、抗酸化酵素が弱まって、放射線
治療の効果が上がり、がんをやっつけることができるというわけです。
切らなくてすむというのは女性にとってとてもうれしいことですね。
はやく保険適用になって欲しいものです。

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