カリウム過剰摂取は危険!慢性腎臓病の人に減塩しおはダメ

text_genen.png減塩最近「減塩しお」という塩
出回っていることを知りました。

塩なのに減塩しおとは、どんな塩かと調べてみたら、普通の塩は 塩化ナトリウム99%でできているのですが、「減塩しお」
半分近くを塩化ナトリウムの代わりに塩化カリウムを混ぜている ことが分かりました。

塩化カリウムも少し苦味はあるものの、普通の塩である塩化ナトリウム
と同じくしょっぱい味がするのだそうです。

それで高血圧の原因になるナトリウムの量を同じ塩味で半分に 減らすことができるというわけです。

しかし、塩化ナトリウムを減らしても、塩化カリウムが多くなって
大丈夫なのでしょうか。カリウム過剰になると心臓に悪いと聞いて
いますので、非常に心配で色々と調べてみました。

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◆ナトリウムとカリウムの関係

ナトリウムは細胞の中にあり、カリウムは細胞の外に存在して
ともに細胞の浸透圧を保ち、体内の水分調節や神経の刺激伝達
、心臓を動かす働きをしています。

細胞はぎっちりくっついているので、細胞内液は体液全体の
3分の2を占め、細胞外液は3分の1ということになり、

カリウムはナトリウムの2倍存在します。

細胞膜を通じてナトリウムとカリウムが入れ替わることで心臓
が動きます。

ナトリウムが細胞内液に入り込むときに、心臓が縮んで血液を
送り出し、カリウムが細胞外液に出る時に心臓がゆるんで血液が
戻るのです。

どちらも命にかかわる重要な栄養素なのですね。

ナトリウムとカリウムの、バランスが崩れると、体内の水分の
流れがスムーズにいかなくなり、むくんだり、高血圧や
体温調節不調の原因になるのです。

 

◆ナトリウムの欠乏と過剰

多量の汗をかいたり、下痢や嘔吐によってナトリウムが失われて
欠乏することがあります。熱中症などのときですね。

すると身体がだるくなったり、めまい、失神などが生じます。

しょっぱいものを食べ過ぎたりすると、ナトリウム過剰になり
高血圧や胃がん、生活習慣病になる恐れがあります。

細胞外液でナトリウムが過剰になると、腎臓に集められて、
2個のカリウムが3個のナトリウムを連れて尿として排泄されるので
ナトリウムの数が減ることになります。

しかしこれでは腎臓に負担がかかりますので、腎臓の悪い人、
特に人工透析をしている人は塩分もカリウムもを控えなくては
なりません。

 

◆カリウムの欠乏と過剰

カリウムも大量の汗と共に失われて、低カリウム血症になる場合が
あります。熱中症の場合などですね。夏バテの原因とも
言われています。

また利尿剤を長く服用すると尿と共に排泄され、低カリウム血症に
なって、脱力感や食欲不振、高血圧になったりします。

尿に排泄されるので、過剰になることはあまりないのですが、過剰に
サプリをのんだり、また腎臓が悪い人は、カリウムの排泄が困難となり、
高カリウム血症を起こすことがあります。

高カリウム血症になると 悪心(おしん)、おう吐、しびれ、神経症
不整脈などがおこります。
不整脈がひどくなると心停止の危険もあります。
アメリカでは薬物による死刑執行時にカリウムを使用するそうです。

 

◆ナトリウムとカリウムの適正な分量は

※ネット上のデータの単位はどういうわけか、
ナトリウム(Na)は塩素(Cナl)も含んだ食塩(NaCl)の重さで、

カリウム(K)は塩化カリウム(KCl)の塩素(Cl)を除いたカリウム
単体の重さで表されていることが多いです。

その方が分かりやすいので元気ナースも上記に従った単位で書きこむ
ことにします。重さの単位もグラム(g)で統一します。

ナトリウム単体の重さ(g)=食塩の重さ(g)÷2.54

で計算することもできますよ。

 

❖腎臓病の無い人の適正な分量は

厚生労働省の食品基準値2015によると

●(P29)ナトリウムの食事摂取基準

食塩目標量は 18歳以上で1日当たり、男性は 8.0g未満、女性は 7.0g未満
と書かれています。

かと言って食塩は必須栄養素ですからゼロにはできず、

食塩の1日の推定平均必要量は18歳以上は、男女とも
食塩で1日当たり 1.5gになっています。

こんなに減らすのは普通は できませんから心配ありません。

※人間で実験はできないので推定平均必要量となっているのでしょう。
●(P30)カリウムの食事摂取基準

カリウムの18歳以上の1日当たりの目安量は 男性 2.5g 女性 2.0g
目標量は 男性3.0g以上 、女性 2.6g以上と書かれていて、

驚いたことに、カリウムの目標量は制限がありません。
あまりカリウムの摂取過剰については考慮されていないようです。

 

❖腎臓病の人の適正な分量は

大阪大学腎臓内科ホームページによると
慢性腎臓病の人の 1日当たりの

食塩制限目安は 1日6.0g未満、カリウムは1.5g未満
となっています。

そこで市販されている減塩しおについて、
1日食塩6gのかわりに減塩しお6g
を摂取するときのカリウムの分量を計算しました。

味の素の減塩しお「やさしお」
1g当たりのカリウムは 0.276gなので
食塩6gのかわりに「やさしお」6gを食べると0.276gX6=1.656g

和田食品の減塩しお「紅彩塩 白塩」は 0.333gX6=1.998g

大正製薬の減塩しお「減塩習慣」は 0.26gX6=1.56g

他のメーカーの減塩しおはカリウムの分量が不明でした。

しかし調査した3メーカーの減塩しおのカリウムの量が、
いずれも1日の制限量1.5gを超えてしまうことは驚きでした。

減塩しお6gは普通の塩のやく3gに当たりますからもっと量を
増やして もよさそうですが、カリウム過剰になるので、もっと
減らさなければ ならないのです。

せっかく食塩の量を半分にしてもカリウムが制限を超えてしまう
ようでは 意味がありません。
それどころか高カリウム血症で心臓が停止する危険も あるのです。

 

◆まとめ

腎臓病の人は減塩しおは使用しない方がいいですね

減塩にはなりますが、カリウムが増えて腎臓を悪くし
高カリウム血症になり、最後は心臓停止の危険が
あるからです。

製品にも注意書きはあるのですが、見えないほど小さい
ですからご注意下さい。
◆参考文献

厚生労働省の食品基準値2015

大阪大学腎臓内科ホームページ

塩化カリウム添加食塩の問題点

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