HF10ウィルスでガン細胞だけを破壊する最新治療法の実用化はいつ?





saibou_gan_cancer.pngがん細胞テレビ朝日の羽鳥慎一モーニングショーそもそも総研(2018年5月17日)
で、がんだけを破壊するウィルス療法の最新研究が放送されました。

世界中で様々なウイルスを使ったがんのウィルス療法の研究が進んで
いますが、日本では、日本で発見された「HF10」というウイルスを使った
抗がん剤の実用化の研究が進んでいるそうです。

「HF10」を使ったがんウィルス療法とはどういうものか、抗がん剤に
なりうるのか、実用化されるのはいつなのか、調べてみました。

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◆HF10ウィルスについて

「HF10」は、唇などにできるヘルペスを起こすウイルスの一種で、ガン
細胞に感染し、ガン細胞だけを死滅させることができるといいます。

発見したのは名古屋大学の西山名誉教授で、滋賀・大津市にあるタカラ
バイオ(株)が2010年に特許を取得して商品化を目指しています。

❖腫瘍溶解性ウイルスの発見

「HF10」ウィルスのように、ガン細胞の中で増殖してガン細胞をを破壊
するウィルスを「腫瘍溶解性ウイルス」と呼びます。

この「腫瘍溶解性ウイルス」は2008年頃、遺伝子治療が脚光を浴びた際
遺伝子治療の派生的な治療法として着目されるようになりました。

遺伝子治療ウィルスは、治療遺伝子を運んでガン細胞に導入するベクタ
ー(運び屋)としての役目をするだけで、自分は増殖しないものでした。

しかし、腫瘍溶解性ウイルスは、ウィルスの一部の遺伝子が変異して、
ガン細胞内で自己増殖しガン細胞を破壊したのち周囲のガン細胞に自己
感染していく事でさらに他のガン細胞をも破壊していくという物です。

名古屋大学消化器外科学では、1996年に粕谷 英樹氏が名古屋大学
ウイルス学の西山教授のもとで「腫瘍溶解性ウイルス」の研究を始め、

1999年に名古屋大学として初めて、ガンに対する腫瘍溶解性ウイルスの
論文が学術誌に掲載されました。

◆HF10ウィルスを抗がん剤に

HF10は単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)の弱毒化株で、がん局所に
注入することにより顕著にガン細胞だけを破壊します。

腫瘍溶解性ウイルスは、正常細胞内でほとんど増殖しませんが、
がん細胞内では高い増殖能を示し、がん細胞だけを殺傷する性質を
持っています。

多くの腫瘍溶解性ウイルスは遺伝子の組換えや外来遺伝子を挿入して
作りますが、HF10ウィルスは、遺伝子工学的改変を一切行っていない
自然変異型のウイルスのため、遺伝子組換え生物等の使用等に関する
規制の対象とはならず、安定しています。

また、HF10は単純ヘルペスウイルスという唇などに小さな水疱ができる
ウィルスの一種で、大多数の人が成人するまでに感染して抗体ができて
いるために、安全性が高いのです。

たとえ抗体ができていない人でも、単純ヘルペスウィルスを抑える
薬はすでに用意されていますから問題ありません。

これらのことから、「HF10」ウィルスは良い抗がん剤になることが
期待できます。

❖HF10ウィルスの作用

HF10ウィルスを、がん局所に投与すると、以下の2段階の作用効果
を示します。

1.正常細胞にほとんど損傷を与えずに、腫瘍組織内のみで増殖・
拡散して腫瘍組織のみを破壊する直接的な抗腫瘍効果。

2.腫瘍細胞の破壊に伴い誘導された細胞傷害性T細胞により全身の
ガン細胞を破壊する効果。

◆タカラバイオ株式会社によるHF10の臨床開発

タカラバイオ株式会社は、現在、日本と米国でHF10の臨床開発を
進めていて、

日本国内では悪性黒色腫(メラノーマ)を対象とした第Ⅱ相臨床試験、
膵がんを対象とした第I相臨床試験を実施しています。

また、米国では悪性黒色腫(メラノーマ)を対象とした第Ⅱ相臨床試験
を実施し、HF10の高い安全性と優れた有効性を示唆するデータを得て
います。

第Ⅰ相、Ⅱ相の臨床試験は、少数のがん患者について実施されますが、
第Ⅲ相臨床試験は3番目の段階の臨床試験で、

多数の患者に対して,第Ⅱ相試験で得られた結果に基づく用法・用量に
従い薬物を投与し,実際の治療に近い形で,(1) 有効性と安全性,
(2) 適応疾患における用法・用量,(3) 副作用,他剤との相互作用など
を,既存薬やプラセボとの薬効比較により評価・検証します。

第Ⅲ相臨床試験の結果が良ければいよいよ実用化ということになるの
です。

◆HF10ウイルスを使った抗がん剤の実用化は2~3年以内?

2013年5月7日22:00 – 22:54テレビ東京ガイアの夜明けで放送された
「治せなかった“がん”に挑む」の中でタカラバイオ株式会社は

2018年度の実用化を目指していましたが、今が2018年度です。

今年度中に「HF10」ウイルスを使った抗がん剤の実用化はできるで
しょうか。

2018年5月17日放送のテレビ朝日羽鳥慎一モーニングショー
そもそも総研では

名古屋大学では悪性黒色腫や膵臓がんに対してこの抗がん剤の研究を
行っていて、現在治験中となっていると放送されました。

治験というのは、臨床試験のうち、新しい薬が国の承認を得て一般の
診療で使えるように、客観的なデータを集めることを目的として行う
ものだそうですから、もう最後の段階ですね。

治験が終われば、厚労省の審査と承認をうけて実用化されるまでの
時間はだいたい2~3年と言われています。

本年度中は無理かも知れませんが、2~3年以内には実用化されるの
ではないかと思われます。

※単純ヘルペスウイルスの遺伝子組み換えでできるT-VECウィルスも
ガン細胞のみを攻撃するようなウイルスで、アメリカ食品医薬品局
(FDA)は、悪性黒色腫(メラノーマ)の「ステージ4」の治療法として
2015年10月27日に初めて認可しています。

◆まとめ

名古屋大学ウイルス学の西山教授によって発見された日本発のHF10
ウィルスは単純ヘルペスウイルスの一種です。

毒性が弱く、発症しなくても日本の成人の9割以上が抗体を持って
いるので、

正常な細胞にはほとんど感染せず、ガン細胞だけに感染してガン細胞
の中で増殖してガン細胞は死滅するのです。

HF10ウィルスは人体のすべての臓器に感染するので、理論的には肺がん
胃がん、脳腫瘍、膵臓などのすべての臓器に効果があると考えられ、
血液やリンパのがんへの可能性も模索されているとのこと。

たとえ、HF10ウィルスが抗体を持たない人の正常細胞に感染しても、
既にある抗ウィルス薬が効くので、問題はありません。

従って、現在のがん治療である、手術、放射線、抗がん剤のどれよりも
副作用の少ない治療法なのです。

しかも、死滅したガン細胞に対する抗体ができるので、転移したガンや
再発しようとするガン細胞の活動を抑える免疫力が働き、再発も抑える
ことができます。

思ったよりすばらしいがん治療法になるのではないかと思います。

なるべく早く実用化されることを期待します。

❖参考文献

★最新研究がんだけを破壊ウイルス療法 第2弾
2018年5月17日放送羽鳥慎一モーニングショー そもそも総研
★治せなかったがんに挑む 2013年5月7日放送ガイアの夜明け
★腫瘍溶解性ウイルスは「抗がん剤」と成り得るか?
https://www.med.nagoya-u.ac.jp/surgery2/scientific/study/virus/aboutvirus/
★HF10|遺伝子医療|タカラバイオ株式会社
http://www.takara-bio.co.jp/medi/hf10.html

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2 Responses to “HF10ウィルスでガン細胞だけを破壊する最新治療法の実用化はいつ?”

  1. 茂樹 より:

    54歳男性です。
    大腸がん術後腹膜播種です。
    現在抗がん剤治療中です。
    実用化とは保健適応と言う意味でしょうか?
    大学病院、総合病院ならどこでも治療できるのでしょうか?

    • 元気ナース より:

      茂樹様 コメントありがとうございました。
      実用化とは臨床試験で安全性が認められて
      実際に治療が開始されることです。
      保険適応はそれからまた時間がかかると思われます。
      ほとんどすべての病院で治療ができるようになるのも
      かなり時間が必要でしょう。初めのうちは臨床試験を
      した病院など限られると思います。

茂樹 にコメントする

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