アルツハイマー病新治療薬!既存3薬併用の効果をiPSで発見

女優の朝丘雪路さんが、5年間アルツハイマー病をわずらって、
先月亡くなったことが、報道されました。

あんなに賢い人でもご主人のこともわからなくなってしまうと
いうアルツハイマー病にはなりたくないと思うのですが。

高齢者が増加する未来に向けて、認知症がroujin_haikai_woman-png%e5%be%98%e5%be%8a
一番心配される昨今です。

その認知症の中でも最も多いアルツハイマー
病を治すことが緊急の課題だと思われるのです。

いままでのアルツハイマー病治療薬はほとん
ど効果がみられないと言われている現在、
もっと治療効果がある薬が期待されていました。

今回今までとは違う効果のある薬が発見され
しかも、認知症薬ではない既存の3薬で
効果が見られたようですので、調べてみました。

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◆既存3薬使用の発見について

京都大iPS細胞研究所の近藤孝之特定拠点助教らのグループ
がiPS細胞を使ってアルツハイマー病患者の細胞を再現し、すで
に存在する薬3種を併用して、アルツハイマー病の原因物質
(アミロイドベータ)を減らす薬を発見したそうです。

論文は2017年11月21日付の米科学誌セル・リポーツに掲載され
ました。

❖実験方法

研究グループは、患者の皮膚と血液から作ったiPS細胞を大脳
神経細胞に変えて病気の状態を再現しました。

そして安全が確認され承認されている1258種類の既存薬
からアミロイドβ(ベータ)を減らす効果がある3種の組み
合わせを選び出しました。

詳しい方法はわかりませんが、1258種の中からアミロイドβ
を減らす薬を一つ一つ見つけて、さらに3種併用した方が
効果が強いことを発見したのでしょうか。大変な作業ですね。

併用によりアミロイドβを減らす3薬は

  • パーキンソン病などの薬「プロモクリプチン」
  • ぜんそく薬「クロモリン」
  • てんかん薬「トピラマート」

でした。

❖iPS細胞とは

皮膚や血液などの細胞に特定の遺伝子を導入して、神経や心臓、
肝臓などの臓器を作ることができる能力をもたせた細胞のこと
です。山中伸弥教授らがノーベル医学生理学賞を共同受賞した
研究です。

❖実験結果

遺伝性のアルツハイマー病患者5人と遺伝性でない患者4人、
および健康な4人の3タイプのiPS細胞から大脳神経細胞を
作製して効果を調べたところ

遺伝性患者は健康な人に比べアミロイドベータ量が3~4割
程度まで、遺伝性でない患者は6割程度まで減ったそうです

素晴らしい結果だと思われますが、どのような仕組みで効果が
表れたかは不明なのだそうです。

それにアミロイドβが減ったことで、アルツハイマー病の症状
がどれぐらい改善されたのかも発表されていません。

この実験は人間で行われた(治験)ようですが、既に安全姓が
承認されている薬ですが、アルツハイマー病の薬は長期間飲む
必要があるので、3種併用の副作用があるかどうかの研究も
必要とのこと。

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◆アミロイドβ(ベータ)はアルツハイマー病の原因?

しばらく前まで、患者の脳に蓄積するアミロイドβタンパク質が
病気の原因なのか、それとも1つの症状にすぎないのか、わから
なかったのですが、どうやら、病気の原因のひとつであること
が証明されたようです。

❖野草アザミの成分「タキシフォリン」

国立循環器病研究センターの斉藤聡医師(脳神経内科)らの
チームが、野草アザミの成分「タキシフォリン」を、アルツ
ハイマー病のマウスに与えたところ、何もしないマウスに比べ
、塊となったアミロイドβの量が約4分の1に減少し、記憶力
も通常のマウスと同等の成績を保ったそうです。

これにより、アミロイドβがアルツハイマー病の原因である
との結論になったのです。

それと共にタキシフォリンも、アルツハイマー病の有力な
治療薬になりうることが発見されました。

こちらは承認されている薬ではなく、まだマウスの実験の段階
ですから、実用化にはまだ時間がかかると思われますが、
記憶力も落ちないことから、アルツハイマー病の早期に使用
すれば、有用な薬になることが期待されます。

◆いままでのアルツハイマー病治療薬について

❖アリセプト

アリセプトはアルツハイマー病では有名な薬ですが、どこの
介護施設でも看護師たちに聞くと、効果が見られない薬と
しても有名です。
アリセプトは神経細胞の神経伝達物質であるアセチルコリン
という、記憶や注意力などに関する神経の脳内物質を出そう
とする薬です。

したがって残された神経細胞が多ければ多いほど役に立つ薬
ですからアルツハイマーの初期から中期にかけては役に立つ
のですが、アミロイドβがたまるのは止められませんから、
一時的に症状の進行を遅らせることはできても、病気は着実
に進行する薬なのです。

神経細胞がこわれてしまう中期以降では、アリセプトは効果
がなくなってしまいます。

❖レミニール

レミニールは、残された神経細胞の末端で分解酵素を阻害して
アセチルコリンをとどまらせて働かせる薬なので、アリセプト
と同じ原理です。

❖イクセロンパッチとリバスタッチパッチ

これらもアリセプトと同じ原理ですが、貼り薬なので、薬が
飲めない人や、一人暮らしの人が、飲んだかどうかが外見で
分かるのが便利です。

❖メマリー

メマリーは、細胞の興奮性を抑える薬です。気分のいらいらを
抑えたり、眠気を取り、神経細胞の保護作用があるので、使用
されています。

❖アルツハイマー病ワクチン

アミロイドβを減らす薬として唯一のものがアルツハイマー病
ワクチンでした。

アミロイドβを動物に接種して抗体をつくらせ、その抗体を
また人間に接種するという、インフルエンザワクチンと同じ
原理です。

アメリカでこのワクチンが開発され、アミロイドβは追い出す
ことはできたのですが、副作用で脳炎を起こして死亡する人
がでました。治験の段階だったのでしょう。

亡くなった人を解剖するとアミロイドβは消失していたそうです
がまだ研究段階といいます。

結局アミロイドβを除去する薬はまだ完成していないことに
なります。
アルツハイマー病は「脳の糖尿病」 2つの「国民病」を結ぶ驚きのメカニズム (ブルーバックス) [ 鬼頭 昭三 ]

◆まとめ

アルツハイマー病の原因の一つであるアミロイドβを減らす
治療薬が見つかりました。

京都大学の既存の3薬併用で効果を強める薬は

  • パーキンソン病などの薬「プロモクリプチン」
  • ぜんそく薬「クロモリン」
  • てんかん薬「トピラマート」

です。

承認薬ではないけれど、他に国立循環器病研究センターの
野草アザミの成分「タキシフォリン」を使う薬と

アルツハイマー病ワクチンも効果がありそうですね。

はやく安全で効果的な薬ができることを期待します。

 

◆参考文献:

✱脳内の老廃物蓄積を抑制する物質が判明
アルツハイマー病の新規治療薬開発へ
http://www.ncvc.go.jp/pr/release/20170404_press.html

✱既存3薬で原因物質減=アルツハイマー病、iPSで発見-京大
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017112200094&g=soc

✱アルツハイマー病 国内10年ぶり新薬
https://www.mainichi.co.jp/ninchishou/topics/2011_10_1.html

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